アンケートの設問設計の手順と失敗しない作り方のコツをわかりやすく解説
- 2024/02/05
- 2024/06/29
目次
アンケートは、マーケティングや研究などでよく使われる調査方法です。しかし、アンケートを実際に作るのは意外と難しいものです。設問の内容や順番、回答の選択肢など、細かいところに気をつけないと、アンケートの信頼性や有効性が低下してしまいます。また、アンケートに回答してもらうためには、対象者の興味や動機づけを高める工夫も必要です。
後悔的なアンケートにするための設問の設計には、一定の手順とコツがあります。それを理解した上でアンケートを作成することで、目的に合わせた効果的なアンケートの作成が可能です。
そこで今回は、アンケートの設問設計の手順と失敗しない作り方のコツをわかりやすく解説します。これからアンケートと調査の実施をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
アンケートの設問設計とは?目的やメリットも解説
アンケートの設問設計とは、アンケート調査の目的に沿って、誰に何を聞くかを決めることです。設問設計が適切でなければ、回答率や調査精度が低下し、有効な結果が得られない可能性が高まります。
アンケートの設問設計の目的とメリット
アンケートの設問設計の目的は、調査のゴールに向けて必要な情報を得ることです。例えば、顧客満足度を上げたい場合は、顧客が商品やサービスにどのように満足したか、不満に感じた点は何か、改善すべき点は何かなどを聞くことになります。
アンケートの設問設計のメリットには、以下のようなものがあります。
- 回答者の本音を引き出すことができる
- 回答者の負担を減らすことができる
- 回答者の属性や傾向を把握することができる
- 回答データを分析しやすくすることができる
- 調査結果を活用しやすくすることができる
アンケートの設問設計には、事前準備や設問の作り方、回答形式の選択など、さまざまなポイントがあります。そこで、アンケート調査の目的に合わせて、適切な設問設計を行うことが重要です。
アンケートの設問設計の基本的な流れ7つと失敗しないためのコツ5つ
アンケートの設問設計の基本的な流れ7つ
アンケートの設問設計の基本的な流れは以下のようになります。
- 調査の目的を明確にする
- 調査対象を決める
- 調査内容を決める
- 設問を作る
- 回答形式を選ぶ
- アンケートを実施する
- アンケートを集計・分析する
それぞれ解説します。
1.調査の目的を明確にする
調査の目的とは、アンケート調査を行う理由やゴールです。調査の目的を明確にすることで、調査対象や調査内容、設問や回答形式などを決める際の基準になります。
そのため、調査の目的は具体的かつ明確であること、測定可能で達成可能で時限性のあるものにすることが大切です。
例えば「顧客満足度を上げるために、商品やサービスの改善点を知る」という調査の目的は、具体的であり明確で、測定可能、達成可能、時限性があるアンケートです。
2.調査対象を決める
調査対象とは、アンケート調査の対象となる人や集団です。調査対象を決めることで、調査内容や設問や回答形式などを決める際の参考となります。
調査対象は、調査の目的に沿って、必要な情報を持っている人や集団にするとよいでしょう。
例えば「顧客満足度を上げるために、商品やサービスの改善点を知る」という調査の目的に沿って、調査対象は「商品やサービスを利用したことのある顧客」にするといった考え方です。
3.調査内容を決める
調査内容とは、アンケート調査で聞きたいことや知りたいことです。調査内容を決めることで、設問や回答形式などを決める際の指針となります。
調査内容は、調査の目的や調査対象に沿って、必要な情報を得られるようにするとよいでしょう。
例えば「顧客満足度を上げるために、商品やサービスの改善点を知る」という調査の目的に沿って、調査内容は「顧客が商品やサービスにどのように満足したか、不満に感じた点は何か、改善すべき点は何か」などにするという考え方です。
4.設問を作る
設問とは、アンケート調査で回答者に質問することです。設問を作ることで、調査内容に沿ったデータを得ることができます。
設問を作る際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 設問はシンプルでわかりやすくすること
- 設問数は回答者の負担を考えて絞ること
- 1つの設問で2つ以上の問いかけをしないこと
- さまざまな解釈ができる問いかけをしないこと
例えば「この商品のデザインと機能に満足していますか?」という設問は、2つ以上の問いかけをしており、さまざまな解釈ができる問いかけです。
このような場合は「この商品のデザインに満足していますか?」と「この商品の機能に満足していますか?」という2つの設問に分けるとよいでしょう。
5.回答形式を選ぶ
回答形式とは、アンケート調査で回答者がどのように回答するかです。回答形式を選ぶことで、調査内容に沿ったデータを得ることができます。
回答形式を選ぶ際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 回答形式は調査の目的や内容に合わせて選ぶこと
- 選択肢は一貫性とバランスを持たせること
- 選択肢は回答者の意見を尊重すること
- 選択肢は排他的で網羅的にすること
例えば「この商品のデザインに満足していますか?」という設問に対して、「はい」「いいえ」の2項目選択型や、「とても満足」「やや満足」「やや不満」「とても不満」の4段階評定法などの回答形式があります。
このような場合は、調査の目的や内容に応じて、回答者の意見を表現できる回答形式を選ぶとよいでしょう。
6.アンケートを実施する
アンケートの実施では、事前に設定した目的や対象者に合わせて、アンケートの配布や回収を行います。アンケートの実施方法には、オンラインやオフライン、郵送や訪問などさまざまな方法があります。
アンケートを実施する際の注意点
アンケートを実施する際は、回答率を高めるために、アンケートの目的や重要性を伝えること、回答時間や期限を明示すること、回答者にインセンティブを提供するなどの工夫をすることが大切です。
また、回答者の属性や意見を偏らせないために、アンケートの配布や回収のタイミングや方法を適切に選ぶこと、アンケートの内容や表現に中立性や客観性を保つこと、回答者の個人情報やプライバシーを守るなどの配慮をすることにも注意が必要です。
7.アンケートを集計・分析する
アンケートの集計・分析とは、アンケートの回答結果を整理し、目的に応じてデータの傾向や関係性を探ることです。
アンケートの集計・分析方法には、主に以下の3つがあります。
1.単純集計
単純集計とは、質問ごとに回答者の実数や割合、平均値などを集計する方法です。アンケートの全体像を把握するのに適しています。
2.クロス集計
クロス集計とは、単純集計のデータを2つ以上の項目と掛け合わせて集計する方法です。回答者の属性や回答内容の詳細な分析に用いられます。
3.自由記述集計
自由記述集計とは、回答者が自由に記述できる質問の回答を集計する方法です。回答者の意見や感想をカテゴリ分けしたり、頻出単語や関連性を分析したりします。
アンケートを集計・分析する際の注意点
アンケートを集計・分析する際は、集計前に有効回答と無効回答を分けることが重要です。無効回答とは、指定された質問項目に回答していない、他の回答と照らし合わせて明らかに異常な数値が記載されている、回答すらしていない、対象外の人物が回答しているなどの回答のことです。
また、集計後にデータの有意性を確認することも大切です。データの有意性とは、データが統計的に信頼できるかどうかを表す指標です。
データの有意性が低いと、分析結果に誤差が生じる可能性があります。データの有意性を確かめるためには、データの回答数や回答者の代表性などを考慮する必要性があります。
設問設計に失敗しないためのコツ5つ
設問設計のコツとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 設問数は回答者の負担を考えて絞る
- 設問はシンプルでわかりやすくする
- 選択肢の尺度は一貫性を持たせる
- 1つの設問で2つ以上の問いかけをしない
- さまざまな解釈ができる問いかけをしない
アンケートの設問設計は、調査の目的や内容によって異なりますが、上記の流れやコツを参考にして、適切な設問を作ることが重要です。
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アンケートの設問設計のポイント
アンケートの設問作成には、以下のようなポイントがあります。
- 設問はシンプルでわかりやすくする
- 設問数は回答者の負担を考えて絞る
- 回答形式は調査の目的に合わせて選ぶ
- 選択肢は一貫性とバランスを持たせる
- 1つの設問で2つ以上の問いかけをしない
- さまざまな解釈ができる問いかけをしない
- 設問の順番は回答者の心理を考えて並べる
それぞれ解説します。
1.設問はシンプルでわかりやすくする
設問は回答者がひと目で質問の主旨を理解できるように、シンプルで明確な文章にすることが大切です。なぜなら、設問が複雑だと、回答者は深く考えることが面倒になり、適当に答えたり、無回答にしたりする可能性があるからです。
また、設問は1つの質問につき1つの内容に絞り、余計な言葉や専門用語は避けましょう。
2.設問数は回答者の負担を考えて絞る
設問は必要最低限のものに絞り、項目の数はできるだけ少なくします。なぜなら、設問が多いと、回答者は「早く終わらせたい」と思って、適当に答えたり、途中で離脱したりする可能性があるからです。
また、設問数は回答時間や回答者の属性などに応じて調整する必要があります。一般的には、5分以内に回答できる程度が目安です。
3.回答形式は調査の目的に合わせて選ぶ
回答形式は調査の目的や内容に応じて適切なものを選びましょう。
回答形式には、以下のような種類があります。
単一選択型
回答者が選択肢の中から1つだけ選ぶ形式です。回答者の思考にかかる負担が最も少なく、回答率が高い形式です。
複数回答型
回答者が選択肢の中から当てはまるものをすべて(または指定した数まで)選ぶ形式です。回答者の嗜好や関心の幅を測るのに適しています。
順位型
回答者が選択肢の中から順位をつけて選ぶ形式です。回答者の優先度や重要度を測るのに適しています。
自由記述型
回答者が自由に記述できる形式です。回答者の意見や感想を生のまま聞くことができますが、回答者の思考にかかる負担が大きく、回答率が低い形式です。
4.選択肢は一貫性とバランスを持たせる
選択肢は一貫性とバランスを持たせることが重要です。
一貫性とは、選択肢の数や表現が設問ごとに統一されていることを意味します。一方、バランスとは、選択肢が偏りなく、回答者のさまざまな意見を反映できることです。
また、選択肢は排他的で網羅的にすることも大切です。
排他的とは、選択肢が重複しないことを意味します。一方、網羅的とは、選択肢がすべての可能性をカバーしていることを指します。
5.1つの設問で2つ以上の問いかけをしない
1つの設問で2つ以上の問いかけをすると、回答者が混乱したり、どちらかの問いにしか答えなかったりする可能性があります。
例えば「この商品のデザインと機能についてどう思いますか?」という設問は、デザインと機能という2つの問いが含まれています。
このような場合は、設問を分けて「この商品のデザインについてどう思いますか?」と「この商品の機能についてどう思いますか?」に分けて質問するべき項目です。
6.さまざまな解釈ができる問いかけをしない
さまざまな解釈ができる問いかけは、回答者にとって曖昧で不明確なものになります。
例えば「この商品は高いですか?」という設問は、高いという基準が人によって異なるため、回答者によって解釈が変わります。
このような場合は、設問を具体化して「この商品の価格は、あなたの予算に合っていますか?」など、主観的な回答を避ける質問をすることが大切です。
7.設問の順番は回答者の心理を考えて並べる
設問の順番は回答者の心理に影響することがあります。
例えば、最初に個人情報を聞くと、回答者は警戒心を持ったり、プライバシーを侵害されたと感じたりする可能性があります。このような場合は、設問の最後に個人情報を聞くと、回答者はすでにアンケートに慣れているため、回答しやすくなるでしょう。
そこで、設問の順番は、回答者の興味や関心を引くものから始めて、徐々に深く掘り下げていくという流れにするのがおすすめです。
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アンケートの設問設計の注意点3つ
次に、アンケートの設問設計を行う際の注意点を3つ紹介します。
1.設問のバイアスとノイズに注意する
バイアスとは、設問の内容や表現によって、回答者の意見や態度が偏ったり、影響を受けたりすることです。一方、ノイズとは、設問の内容や表現によって、回答者の意見や態度が曖昧になったり、不正確になったりすることを指します
バイアスやノイズが発生すると、回答者の本音を反映しないデータになり、調査の信頼性や有効性が低下します。
バイアスやノイズを防ぐためには、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 設問は中立的で客観的にすること
- 設問は明確で具体的にすること
- 設問は回答者の知識や経験に合わせること
- 設問は回答者の意見や感情を尊重すること
- 設問は回答者の記憶力や思考力に配慮すること
2.設問の言葉遣いと表現に注意する
設問の言葉遣いと表現は、回答者の理解や印象に影響する重要な要素です。
設問の言葉遣いと表現には、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 設問は簡潔で明確にすること
- 設問は専門用語や難解な言い回しを避けること
- 設問は文末や敬語を統一すること
- 設問は語句や表現を一貫させること
- 設問は回答者の属性や文化に配慮すること
3.設問のテストと修正を行う
設問のテストと修正は、設問の質や効果を確認し、改善するための重要なステップです。
設問のテストと修正には、以下のような方法があります。
プレテスト
実際の調査対象と同じ属性の人にアンケートを実施し、設問の理解度や回答の傾向などを調べる方法です。
エキスパートレビュー
アンケートの専門家や関係者にアンケートを見てもらい、設問の内容や表現などについての意見やアドバイスをもらう方法です。
カウニングテスト
回答者にアンケートを実施した後に、設問の内容や表現についての感想や疑問などを聞く方法です。
クロスチェック
設問の内容や表現が他の設問と矛盾していないか、重複していないか、漏れていないかなどを確認する方法です。
上記のような設問のテストと修正を行うことで、設問の質や効果を高めることができるでしょう。
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アンケートの目的別の設問設計事例と分析手法
以下では、アンケートの目的別の設問設計の事例と分析手法について解説します。
顧客満足度調査の設問設計
顧客満足度調査とは、顧客が商品やサービスにどの程度満足したかを測る調査のことです。
顧客満足度調査の設問設計では、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 調査の目的を明確にすこと
- 調査対象を適切に選ぶこと
- 調査内容を必要最低限に絞ること
- 設問はシンプルでわかりやすくすること
- 回答形式は調査の目的に合わせて選ぶこと
- 選択肢は一貫性とバランスを持たせること
- 選択肢は排他的で網羅的にすること
- 自由記述欄を設けること
顧客満足度調査の設問設計の事例としては、以下のようなものがあります。
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index=日本版顧客満足度指数)
JCSIとは、顧客が満足したかどうかを計測するだけでなく、満足度を上下させている理由や利用者のその後の行動について、分析と比較を行う手法です。
顧客推奨度調査
顧客推奨度調査とは、その商品やサービスを家族・友人に勧めたいかどうかという推奨意向を調べることによって満足度を測る調査方法です。
NPS(Net Promoter Score=純推奨者指数)
NPSとは、顧客推奨度調査の一種で、10点満点で「この商品やサービスを友人や同僚に勧める可能性はどれくらいですか?」という質問に対する回答から、推奨者(9~10点)、中立者(7~8点)、非推奨者(0~6点)の割合を求め、推奨者の割合から非推奨者の割合を引いた値をNPSとする手法です。
市場調査の設問設計
市場調査とは、市場の規模や動向、競合状況、消費者のニーズや嗜好などを調べる調査のことです。
市場調査の設問設計では、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 調査の目的と仮説を明確にすること
- 調査対象を適切にサンプリングすること
- 調査内容を必要十分にすること
- 設問は明確で具体的にすること
- 回答形式は調査の目的に合わせて選ぶこと
- 選択肢は一貫性とバランスを持たせること
- 選択肢は排他的で網羅的にすること
- 自由記述欄を設けること
市場調査の設問設計の事例として、以下のようなものがあります。
ニーズ調査
市場に存在する消費者のニーズや要望を調べる調査方法です。
セグメンテーション調査
市場を消費者の属性や嗜好などによって細分化し、各セグメントの特徴やニーズを調べる調査方法です。
コンセプトテスト
商品やサービスのコンセプトやアイデアを消費者に提示し、その反応や評価を調べる調査方法です。
従業員満足度調査の設問設計
従業員満足度調査とは、従業員が職場や仕事にどの程度満足しているかを測る調査のことです。
従業員満足度調査の設問設計では、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 調査の目的と仮説を明確にすること
- 調査対象を適切にサンプリングすること
- 調査内容を必要十分にすること
- 設問は明確で具体的にすること
- 回答形式は調査の目的に合わせて選ぶこと
- 選択肢は一貫性とバランスを持たせること
- 選択肢は排他的で網羅的にすること
- 自由記述欄を設けること
従業員満足度調査の設問設計の事例として、以下のようなものがあります。
ES(Employee Satisfaction=従業員満足度)
ESとは、従業員が職場や仕事に対してどの程度満足しているかを調べる調査方法です。
EES(Employee Engagement Survey=従業員エンゲージメント調査)
EESとは、従業員が職場や仕事に対してどの程度熱意や関与を持っているかを調べる調査方法です。
360度フィードバック
360度フィードバックとは、従業員の業務や能力に対して、上司や部下、同僚などのさまざまな立場の人からフィードバックを得る調査方法です。
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アンケートの設問設計のまとめ
上記のように、設問設計は、効果的なアンケートを行うための必須工程の1つです。もし、設問設計をしなかったり、やり方を間違うと、有効な回答が得られずに、アンケート調査の意味がなくなる可能性があります。
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