ニーズ分析に効果的なヒアリングのコツ|顧客のインサイトを把握する方法を解説
- 2023/10/09
- 2023/10/10
目次
ニーズ分析とは、顧客の課題や要望を明らかにするための重要なプロセスです。ニーズ分析を行うことで、顧客に適した商品やサービスを提供したり、効果的なマーケティング戦略を立てたりすることができます。
このニーズ分析を正確に行うためには、顧客とのヒアリングが欠かせません。ヒアリングとは、顧客との対話の中で、質問やフィードバックを通じて顧客の思考や感情、動機などを引き出すことです。
ただ、効果的なヒアリングを実施するためには、顧客のニーズだけでなく、潜在的なインサイトを把握することが重要です。
そこで今回は、ニーズ分析に効果的なヒアリングのコツや、顧客のインサイトを把握する方法を徹底解説します。企業の経営者の方はもちろん、マーケティングに関わる方も、ぜひ参考にしてください。
ニーズ分析とは?目的とメリットを解説
ニーズ分析とは、顧客や市場が持つニーズ(必要性)を調査・分析することです。
ニーズ分析の目的は、自社の製品やサービスを改善したり、新たな製品やサービスを開発したりするために、顧客の要求や課題を明らかにすることです。
ニーズ分析を行うメリットには、顧客満足度やロイヤルティを向上させることや、顧客の購買行動や嗜好を把握し、効果的なマーケティング戦略を立てること、顧客がまだ気づいていない潜在的なニーズを発見し、新たな市場を開拓することなどがあります。
ニーズ分析の手法
ニーズ分析の手法はさまざまですが、代表的なものとしては次の3つがあります。
インタビュー
顧客や利用者に直接話を聞く方法です。インタビューでは、事前に質問項目を用意し、顧客や利用者の背景や状況、感情や思考、行動や意図などを深く掘り下げます。
アンケート
顧客や利用者に質問紙を配布して回答を集める方法です。アンケートでは、事前に質問項目を設計し、顧客や利用者の傾向や特徴、満足度や不満点などを定量的に分析します。
観察
顧客や利用者の実際の行動や様子を観察する方法です。観察では、事前に観察項目を決め、顧客や利用者の動きや表情、言動や反応などを記録します。
これらの方法にはそれぞれに特徴や利点があるため、目的や状況に応じて適切に選択することが重要です。
ニーズ分析におけるヒアリングの流れ
ニーズ分析とは、顧客の要望や課題を明らかにし、それに応える最適なソリューションを提供するためのプロセスです。
ニーズ分析におけるヒアリングは、顧客とのコミュニケーションを通して、顧客の現状や目標、課題やニーズなどを把握することを目的としています。
ニーズ分析におけるヒアリングの流れは、大きく分けて以下の4つのステップになります。
1.事前準備
まずはじめに、ヒアリングの目的や対象、仮説や質問項目などを設定します。
2.基本情報の確認
顧客の会社概要や事業環境などを確認します。
3.課題・ニーズの確認
仮説をもとに質問をし、顧客が抱える課題やニーズを明らかにします。
4.ゴール・予算・決裁者・導入時期の確認
顧客が達成したいゴールや購入するための条件を確認します。
ニーズ分析に効果的なヒアリングのコツ
事前準備を徹底する
まずはじめに、ヒアリングの目的や対象を明確にすることが重要です。ヒアリングを行う前に、どのようなニーズを把握したいのか、誰に聞きたいのか、どんな仮説を立てたいのかを考えておきましょう。
次に、ヒアリングの流れや質問項目を事前に設計することも必要です。ヒアリングシートを作成する際には、仮説に基づいた質問や、感情や背景を聞き出す質問を用意しましょう。
そして、ヒアリングの方法や手段も、あらかじめ決めておくことが望ましいです。対面で行うか、オンラインで行うか、録音や録画をするかなどを事前に確認しておきましょう。
仮説を立てる
ヒアリングでは、顧客のニーズや課題を仮説として立ててから検証していきます。仮説は、顧客の現状や関心、目的や手段などに関する予測です。
仮説を立てる際には、顧客の業界や市場、競合や傾向などを事前に調べておくことが有効です。また、自社のソリューションが最も解決効果の大きい課題に対応できるように仮説を絞り込みましょう。
ただし、仮説はあくまで予測ですので、間違っている可能性があります。そのため、仮説の検証を繰り返し行い、次の仮説を立てるためのステップと考えましょう。
ヒアリングシートを作成する
ヒアリングシートとは、ヒアリングの流れや質問項目、回答内容などを記録するためのツールです。ヒアリングシートは、話が脱線しないようにするだけでなく、後で分析や考察に役立ちます。
ヒアリングシートを作成する際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 質問項目は仮説に基づいたものであること
- 質問項目はオープンエンド(自由回答)とクローズドエンド(選択回答)を使い分けること
- 質問項目は具体的かつ明確であること
- 質問項目は必要最小限であること
- 質問項目は論理的な順序で並べること
ヒアリングシートの具体例
ニーズ分析のヒアリングにおける質問を作る場合は、以下のような例が考えられます。
質問1.あなたはどんな商品やサービスに興味がありますか?
質問2.あなたはどんな商品やサービスを利用していますか?またその理由は何ですか?
質問3.あなたはどんな商品やサービスに不満や課題を感じていますか?またその原因は何だと思いますか?
質問4.あなたはどんな商品やサービスがあれば満足や解決につながると思いますか?またその理由は何ですか?
質問5.あなたはどんな商品やサービスに対して、どのくらいの価格を支払うことができますか?またその基準は何ですか?
これらの質問は、顧客や利用者のニーズや感情を深く掘り下げることができるオープンエンドの質問です。また、5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように)を使って、顧客や利用者の状況や背景を詳しく聞くことができます。
これらの質問を漏斗型の順序で行うことで、一般的なものから具体的なものへと話を誘導することができます。
質問技術を磨く
ヒアリングでは、質問技術が重要です。質問技術とは、相手の話を引き出すために使う言葉やトーン、表情などのコミュニケーションスキルです。
質問技術を磨くためには、以下のポイントに注意しましょう。
- オープンエンドの質問を使う
- アクティブリスニングをする
- フォローアップの質問をする
- フィードバックを与える
- ポジティブな言葉やトーンで伝える
- 具体的かつ明確に伝える
- 双方向のコミュニケーションを促す
ヒアリング結果を分析する方法とポイント
分析手法の選択と実施
ヒアリング結果を分析するには、適切な手法を選択し、実施する必要があります。
手法の選択には、ヒアリングの目的や対象、質問内容や回答形式などを考慮することが重要です。
例えば、ヒアリングの目的が顧客のニーズや課題を把握することであれば、定性的なデータを収集するインタビュー調査が適しています。一方、ヒアリングの目的が顧客の嗜好や行動を数値化することであれば、定量的なデータを収集するアンケート調査が適していると言えるでしょう。
また、ヒアリングの対象や質問内容によっても、分析手法は異なります。
例えば、ヒアリングの対象が少数で質問内容が深く掘り下げたものであれば、KJ法やSWOT分析などの手法が有効です。一方、ヒアリングの対象が多数で質問内容が広く浅いものであれば、クロス集計や因子分析などの手法が有効です。
ヒアリング結果を分析する際の注意点
分析手法は1つに限定しない
分析手法は1つに限定せず、複数の手法を組み合わせることでより精度の高い分析が可能になります。
分析手法を柔軟に変更する
分析手法は目的に応じて柔軟に変更することができます。分析中に新たな発見や問題があれば、手法を見直すことも必要です。
分析手法を単純化しすぎない
分析手法は単純化しすぎないことが大切です。ヒアリング結果には多様性や複雑性があります。そのため、分析手法もそれらを反映させることが重要です。
KJ法でヒアリング結果を整理する
KJ法とは、定性的なデータをカテゴライズし、関連性や重要度を可視化するための手法です。
KJ法は以下のステップで行います。
1.ヒアリング結果からキーワードやフレーズを抽出し、付箋やカードに書き出す。
2.同じような意味や内容の付箋やカードをグループ化し、それぞれにカテゴリー名をつける。
3.グループ間の関連性や因果関係を線でつなぎ、全体像を作る。
4.全体像から主題やテーマを導き出し、まとめる。
KJ法でヒアリング結果を整理する際の注意点
キーワードやフレーズは具体的かつ簡潔に書く
キーワードやフレーズは具体的かつ簡潔に書くことが大切です。長すぎると読み取りやグループ化が困難になります。
グループ化は直感的に行う
グループ化は直感的に行うことが重要です。論理的に分類しようとすると、本質的な関係性が見えにくくなります。
関連性や因果関係を明確に示す
関連性や因果関係は明確に示すことが必要です。線の種類や色、方向などを工夫して、分かりやすく表現しましょう。
主題やテーマを一言で表す
主題やテーマは一言で表すことが望ましいです。長い文章にすると、メッセージが伝わりにくくなります。
SWOT分析でヒアリング結果を評価する
SWOT分析とは、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素を分析することで、現状の評価や戦略の立案を行うための手法です。
SWOT分析は以下のステップで行います。
1.ヒアリング結果から強み、弱み、機会、脅威を洗い出す。
2.洗い出した要素を2×2のマトリックスに配置する。
3.マトリックスから戦略的な課題や方向性を導き出す。
4.導き出した課題や方向性に基づいて具体的なアクションプランを作成する。
SWOT分析でヒアリング結果を評価する際の注意点
内部からの視点と外部からの視点を使い分ける
強みや弱みは自社や自分の視点から、機会や脅威は外部環境の視点から考えることが重要です。それぞれの視点を混同しないようにしましょう。
洗い出した要素を客観的かつ具体的に記述する
洗い出した要素は客観的かつ具体的に記述することが必要です。主観的や抽象的な表現は分析の精度を下げる恐れがあります。
導き出した課題や方向性に優先順位をつける
マトリックスから導き出した課題や方向性は優先順位をつけることが望ましいです。全てに対応しようとすると、効果的な戦略が立てられなくなります。
カスタマージャーニーマップでヒアリング結果を可視化する
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスを利用する際に経験する一連のプロセスを図式化したものです。ヒアリング結果をカスタマージャーニーマップに落とし込むことで、顧客の行動、感情、課題、ニーズなどを一目で把握できます。
カスタマージャーニーマップの作成方法は以下の通りです。
1.顧客のペルソナ(代表的な顧客像)を定義する。
2.顧客が目標達成までに経るステージ(認知、検討、購入、利用、継続など)を設定する
3.各ステージでの顧客の行動やタッチポイント(顧客と製品やサービスが接触する場面)を列挙する。
4.各タッチポイントで顧客の感情や課題を記述する。
5.各課題に対して改善策や提案を考える。
分析結果の活用と提案への反映
カスタマージャーニーマップを作成したら、分析結果を活用して顧客に適したソリューションを提案します。
提案する際のポイントは以下の通りです。
顧客の課題や要望を明確にする
顧客が抱える問題やニーズを具体的に伝えることで、提案の背景や目的を理解させましょう。顧客が感じる痛みや喜びを共感する言葉で表現することで、感情的な共感を得ます。
顧客に適したソリューションを提案する
顧客の課題や要望に応えるソリューション(製品やサービス)を具体的に紹介しましょう。
そして、ソリューションの特徴やメリットを強調し、他社との差別化点を明確にします。
ソリューションの効果や価値を数値や事例などで示すことで、論理的な説得力を高めることができます。
ニーズ分析に効果的なヒアリングのまとめ
このように、ニーズ分析を行うことで、顧客や市場が持つニーズ(必要性)を調査・分析することができます。ニーズ分析の結果により、自社の製品やサービスを改善したり、新たな製品やサービスを開発したりするための効果的な施策を導くことが可能です。
このニーズ分析を、より正確に行うために行うのがヒアリングです。適切なヒアリングは、自社製品の改善や開発に欠かせない施策となります。
そこでこの記事を参考にして、ニーズ分析に効果的なヒアリングのスキルアップを図りましょう。
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• 新規お問い合わせ、相談数の向上
• ヒアリングの内容の最適化から受注率の向上
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• 既存顧客、従業員のエンゲージメント向上
• データ登録負荷の軽減
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