CPAはWEB広告の運用において重要な指標です。しかし、CPAの意味を正しく理解しないまま上手く活用できていない方も少なくありません。今回はCPAの意味や計算方法からWEB広告運用におけるCPAの改善方法について分かりやすく解説します。

CPA（顧客獲得単価）とは？

CPAとは？基本的な考え方

CPAとはコスト・パー・アクション（Cost Per Action）の略称です。CPAは1件のコンバージョンを獲得するまでにかかったコストを指すので、顧客獲得単価や成果単価とも呼ばれています。

CPAは広告費用をかけたうえでどれだけコンバージョンに繋がったかを明確にする指標になります。CPAが低いほど費用を抑えてコンバージョンが発生しているため、費用対効果が高い広告運用の実現可能となります。

CPAの計算方法

CPAの計算方法は以下になります。
CPA(コンバージョン率)=費用÷コンバージョン数（成約数）
例えば費用が100,000円でコンバージョン数が100件だった場合CPAは1000円になります。計算方法は100,000（費用）÷100（コンバージョン数）=1000(CPA)です。

CPAと似ている用語CPO、CPR、CPCの違い

CPAと同じく広告業界で多く使われている指標にCPOとCPRがあります。CPAはコンバージョン数に対しての費用になりますが、CPOとCPRはともにコンバージョンの定義をより具体化した時の指標になります。詳しくは以下の説明になります。

CPO

CPOは注文が1件発生する際にかかった費用のことを指します。CPAのコンバージョンの定義は資料請求や会員登録など幅広いですが、CPOのコンバージョンの定義は注文や受注
が定義になります。コンバージョンの定義をより具体化することで、課題の可視化と的確な改善策の考案が期待できます。

CPOの計算方法
CPO=広告費用÷注文件数（受注件数）

CPR

CPRは申し込みが1件発生する際にかかった費用のことを指します。CPRのコンバージョンの定義は申し込みなどが定義になります。購入や発注を行う前の無料トライアルや資料請求にようなアクションが申し込みに該当します。CPRも同じく受注や購入などアクションを起こす前の行動指標になっており、CPRが低いことの可視化が可能になれば明確な改善策に期待できます。

CPRの計算方法
CPR=広告費用÷申し込み件数

CPC

CPCは広告を一回クリックした際に発生する費用のことを指します。CPA・CPO・CPRと大きく違うのは、コンバージョンの件数に関係しない点です。コンバージョンに繋がらなかったクリック数も計算に入れるため、CPCが低くてもコンバージョンが上がらなければ改善の余地はあります。

CPCの計算方法
CPC=費用÷クリック数

CPAの重要性とは？

CPAは広告費用を行う上で重要なツールになります。CPAを注視することで課題が可視化され改善策の解決率上昇に期待ができます。CPAを問題視せずコンバージョンや売上のみに集中してしまうと、売上に対しどれだけの費用を使用したのかが分かりません。CPAの数値が上がっていくと利益は圧迫され、CPAの数値が下がると利益は増加します。広告運用で利益獲得を目指す場合はCPAの正しい数値に基づいて運用する必要があります。

CPAを運用に生かす2つのメリット

CPAは広告運用を行う上で必要な指標です。CPAの的確な活用でメリットが多く生まれます。詳しくは以下でご説明します。

1.費用対効果を評価できる

広告を運用する際にCPAを注視することで費用対効果の評価が可能となります。CPAの活用でコンバージョンまでのプロセスで、費用や時間を投じている広告がコンバージョンに対して見合っているかの可視化が可能となります。コンバージョンは同じ広告枠で合っても時間やクリエイティブによって左右します。CPAという指標があればWeb広告の費用対効果の評価を客観的な目線で判断できます。

2.広告費用を検討する指針になる

CPAの運用を注視することで広告費用の明確な指針を決めることが可能となります。広告費用は運用の成果次第でコストの削減や増加を判断する必要があります。CPAは費用対効果の評価が可能なので、CPA数値を確認した上で継続か停止かの判断材料になります。

例えばCPA数値が上がった場合は広告費用の削減と同時に離脱率が高いページのテキスト変更やクリエイティブの変更を行わなければCPA数値は下がりません。CPA数値の低下は改善の繰り返しで実現できるため運用初期は特にCPAに注視する必要があります。

CPAの目標設定の仕方

CPAの目標設定は理想を掲げて高い目標にしすぎてはいけません。CPAの目標設定をする場合は、自社で必ず達成しないといけない限界CPAと、達成できればさらに活用が見込める目標CPAの主に二つ目標設定の仕方があります。
詳しくは以下になります。

限界CPAと目標CPAとは？

限界CPA

限界CPAとは1件のコンバージョンを出すための上限単価です。例えば20,000円の商品を売るために、Web広告で新規顧客を獲得する場合CPAは売値の20,000円以下にしなければ収益は出ません。CPAが何円以内であれば収益が出るかの判断する基準が限界CPAになります。
限界CPAの算出方法は以下になります。
顧客単価×利益率=限界CPA
20,000円（顧客単価）×50%（利益率）=10,000円（限界CPA）

コンバージョンの定義が購入ではなく会員登録や無料登録のような場合は計算式に成約率を追加すると限界CPAが算出できます。
顧客単価×利益率×成約率=限界CPA
20,000円（顧客単価）×50%（利益率）×50%（成約率）=5,000円（限界CPA）
限界CPAは損失と利益の分かれ目にもなるので損益分岐点とも呼ばれています。

目標CPA

目標CPAとは1件のコンバージョンを出すために利益を残しつつ目標とする希望単価です。限界CPAの数値をそのまま目標CPAにしてしまうと利益が0になってしまいます。利益額の何%を広告費用に当てるのかを事前に決める費用があります。仮に利益の40%を広告費用に当て60%の利益を残したい場合は広告費用を算出する前の利益額の40%が目標CPAになります。
目標CPAの計算方法は以下になります。
売上単価×利益率×広告費用=目標CPA
20,000円（顧客単価）×50%（利益率）×40%（広告費用率）=4,000円（目標CPA）

CPAの目標設定手順2つ

1.広告予算と目標CVを決める

CPAの目標を決める際に先にどの程度の広告費用が使用可能かを算出します。広告費用活用の費用対効果を示す指標がCPAになります。自社でのWeb広告枠の予算算出が必要となります。

2.CVの定義を決める

CPAの目標を決める際にコンバージョンの定義も定める必要があります。算出された予算の活用は何のコンバージョンを増やすためかを明確にすることが求められます。コンバージョンの定義が直接利益に繋がる購入などか関節利益に繋がる会員登録かで1件のコンバージョンにかける予算額が変わります。

3.CV数を決める

CPAの目標を決めるには最後にコンバージョン数を定めます。予算内で可能な範囲のコンバージョン数を定めることによって限界CPAが算出されます。限界CPAが算出されれば最終利益率を何%にするかを定めます。利益額のパーセンテージによって目標CPAも算出可能になります。

CPAの平均単価

CPAの単価は各業界によって異なります。計算方法で算出した売上単価や利益率が違うのでCPAの単価に差が生まれます。売上単価や利益率が高い業界はCPAも高く、低い業界はCPAも低めに設定されます。しかし、目標CPAを高く掲げる企業戦略もありCPAが高いからといって利益が多いとは限りません。
主な業界のCPA平均単価は以下になります。

業界
平均CPA（顧客獲得単価）
自動車業界
3,687円
B2B業界
12,774円
消費者サービス業界
9,977円
Eコマース業界
4,979円
教育業界
7,997円
人材派遣業界
5,284円
金融・保険業界
9,012円
健康・医療業界
8,589円
家庭用具業界
9,584円
法的業界
9,462円
不動産業界
12,827円

CPA改善方法4選

CPAの数値は下がれば利益が増加しますが、数値が上がれば利益の圧迫に繋がります。CPA数値が上がった際の改善方法をご紹介します。

1.広告の品質改善

CPAの改善方法には広告の品質向上が必要になります。ユーザーのアクセス数増加が少ないとCPAの上昇に繋がるため、アクセス数を伸ばすためには広告自体の品質の見直しが必要です。ユーザーがクリックしやすい、クリックしてしまう広告の作成が求められます。期間限定キャンペーンや業界No.1のような様々なテーマでの訴求を実施します。実施した広告の中でCPC（クリック率）がよかったものに改善を加えて広告全体のCPC（クリック率）を上げる必要があります。

2.LP（ランディングページ）の改善

CPAの改善方法にはLP（ライディングページ）の改善が必要になります。LPの見直しでユーザーがどのような内容を求めているかを理解して改善する必要があります。ヒートマップツールの活用でユーザーが見ていない箇所などの修正を行います。LPの改善によってCVR（コンバージョン率）の向上が見込めるので、結果的にCPAの数値低下に繋がります。

3.ターゲットの見直し

CPAの改善方法には広告対象になるターゲットの見直しも必要です。多くのWeb広告媒体は配信しているターゲットごとのCPAが算出されます。CPAの数値が上昇しているターゲットの広告配信を止めるなどの改善が求められます。

ターゲットの改善はCPCの上昇に繋がるため、低予算でサイトにアクセスしてもらえるのでCVRの上昇も見込めます。CPCとCVRの上昇はCPAを改善する大きなポイントになります。

4.効果の悪い広告の配信停止

CPAの改善方法には効果が悪い広告を配信停止にするなどの判断が必要です。効果の悪い=CPCが低い広告ともなります。

CPAを下げるにはコンバージョンを少ない費用で発生させる必要があります。サイトにアクセスする人数が少ないとコンバージョンする可能性が低くなるためCPAの数値上昇に繋がります。広告自体のデザイン変更などを行っても効果が悪い場合は配信の停止をする必要があります。

CPA活用する際の注意点

CPAを活用する上で広告投資がギャンブルにならないように注意が必要です。目標CPAの算出を行っていないとどれだけの予算を投じたら成果が上がるのか不明確です。コンバージョンに対しての可能な金額の予算を把握が必要です。

広告運用は配信された結果を分析し改善に取り組むことが重要です。コンバージョンの定義を明確に定め、コンバージョン視点での適切な課題解決が必要です。コンバージョンの定義を定めたとしてもCVR（コンバージョン率）の平均数字が出るまでの時間と改善が必要になります。広告運用を検討されている方は一定の期間広告に投資できる環境作りが求められます。

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CPAまとめ

今回はCPAの目標設定の仕方について多く触れてきました。広告運用する上でCPAを上手くコントロールができれば、事業に投じていたコスト改善の実現も可能になります。一方で限界CPAを超えてしまう広告運用を実施すると赤字運営に陥ってしまいます。広告運用でCPAを確認し、素早い改善と判断が運用の成功に繋がります。

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